お子さんには、全部で20本の乳歯が生えてきます。
大人では、親知らずも含めて32本の歯が生えてきます。
このように、ヒトの歯というのは生えてくる数も順番も、それから並び方さえも決まっています。
そしてそこには、きちんとした意味もあるのです。
例えば、お肉をお口の中に入れると、まずは噛み切りたいですよね。
ですから、先端の鋭い前歯というのは、前の方に生えています。
ある程度小さくなったお肉は、お口の奥方に送られ、ものをすり潰しやすい形をした奥歯によって、さらに小さくなっていくのです。
<ものを食べやすくする>
けれども、歯が全て理想的な形に並んでいる人というのは、日本人には少ないんです。
「外国人は違うの?」という疑問がわくかと思いますが、それはまた別の機会に説明します。
歯並びが乱れた状態を叢生(そうせい)と呼び、一般的には乱杭歯とも呼ばれています。
乱杭歯だと、上と下の歯がきちんと噛みあっていないため、ものを食べてもなかなか効率手的に噛み砕いていくことが難しくなります。
こうした状態だと、大きな塊のまま食べ物を飲み込んでしまうので、消化に悪いですし、その他にも色々な悪影響が出てきてしまうのです。
<しゃべりやすくする>
歯というのは、ものを噛み切るためだけに存在しているのではありません。
実は、言葉をしゃべる時にも、それなりに大切な役割を果たしているのです。
というのも、気道や声帯が健康な状態であれば、声を出すこと自体にとりわけ問題はありません。
けれども、言葉をしゃべるとなると、お口の中は意外に複雑な動きをしているため、舌や歯並びも健康でなければ滑舌良くしゃべることは難しくなるのです。
具体的には、歯並びが悪くて、舌の動きを邪魔してしまうケースなどが考えられます。
つまり、歯というのは言葉をしゃべるための機能にも、深く関与しているのです。
<笑顔を増やす!?>
そして、歯が持つ最も重要な役割のひとつが、審美性です。
当然のことながら、誰しもご飯が食べやすく、言葉をしゃべりやすい状態が望ましいですよね。
実際、そうした機能を良くするために、歯列矯正を受ける患者さんも沢山いらっしゃいます。
ただ、それと同じくらい多くの人が、歯並びの美しさを向上させたいと願って治療を受けているのも事実です。
歯列矯正を終えてから、笑うことが増えたという患者さんは少なくありません。
逆に言えば、それだけ多くの人が、歯並びの悪さをコンプレックスに抱えているということです。
このように、歯列の矯正というのは、しゃべったり食べたりする機能を良くするだけでなく、その人のコンプレックスを解消して、人生そのものを大きく変えてくれる治療だと言えるのです。